鼡径ヘルニアとは、脚の付け根の部分が膨らむ病気です。こどもの鼡径ヘルニアは生まれつきその部分に異常なヘルニアの袋があり、その中に腸管などのお腹の臓器が入り込むことで発症します。こどもの5%がなると言われ、通常自然には治らず、手術が必要です。10%の人は両側であり、また片側手術した人の10%は反対側に後から発症します。
こどもの鼡径ヘルニアに対して、SILPEC法という腹腔鏡手術を当科では導入しています。臍に縦に1cmの傷をつくり、そこから手術を行う方法です。カメラを使ってお腹の中から見ることで両側の確認と治療ができ、また傷もきれいです。
小児外科とは
こどもの手術を行う診療科です。
生まれつきの病気(先天奇形)をはじめとする新生児外科疾患(先天性食道閉鎖症、先天性横隔膜ヘルニア、臍帯ヘルニア、腹壁破裂、腸閉鎖症、鎖肛など)、小児消化器疾患(胆道拡張症、胆道閉鎖症、胃食道逆流症、炎症性腸疾患など)、一般小児外科疾患(鼡径ヘルニア、停留精巣、臍ヘルニア、急性虫垂炎など)、小児悪性腫瘍(神経芽腫、腎芽腫、肝芽腫など)、小児救急・外傷(腹部臓器損傷など)に対応しています。
とちぎ子ども医療センター、総合周産期母子医療センターの一員として、生まれる前からわかっている病気や、小さく生まれたことで起こってしまう病気にも、小児科や産婦人科と連携して治療を行っています。
こどもに手術をするということ
こどもは大人に比べて体が小さいため、特に新生児・低出生体重児では繊細な手術のテクニックが必要です。
体が小さいことだけでなく、これから成長し大きくなっていくこと、またこの先何十年も生きることを考えて手術方法を工夫しています。
大きな試練を無事に乗り切るため、患児本人やお父さん、お母さんへの精神・心理的な援助も行っています。
これって病気なの?
赤ちゃんのでべそ!?
~臍ヘルニア~
へその緒の脱落後に臍がぽっこりと膨らんでしまった状態を臍ヘルニアといいます。生まれた後に臍の穴が上手く閉じなかったために起こります。早めに圧迫療法を行うと自然にきれいに治る可能性を高めることができます。お子さんの臍の形を心配に思われたら、小児外科にご相談下さい。
臍形成術
2歳を過ぎても自然に治らなかった臍ヘルニアに対しては、臍形成術を行います。
睾丸がない!?
~停留精巣~
精巣は本来生まれる前にお腹の中から陰嚢の中に降りてきます。それが途中で止まってしまうのが停留精巣です。不妊や精巣腫瘍の原因にもなる病気です。留まった位置により治療法が変わりますが、近年は早い時期に手術した方が良いと言われています。お子さんの陰嚢に睾丸がない気がするときは、早めに小児外科にご相談下さい。
精巣固定術
停留精巣に対しては、精巣を陰嚢に降ろして固定する精巣固定術を行います。精巣の位置により、脚の付け根や陰嚢に、目立たないように傷を作って行います。